『AGG』『LQD』『HYG』米国債券ETFの徹底比較【2021年4月】
今回は米国債券ETFでも人気の高い『AGG』『LQD』『HYG』の3つを比較していきます。
特に『HYG』は初めて研究していますので、注目していただければと思います。
債券ETFをポートフォリオに組み入れることにより、株価暴落時のリスクを減らすことが可能です。
また、暴落時からの回復を待ってから債券を売却し、価格が戻り切れていない株を購入することで資産拡大スピードを増すことが出来ます。
それでは、是非最後までご覧ください。
『AGG』『LQD』『HYG』の基本情報を比較
『AGG』『LQD』『HYG』の基本情報一覧表
ティッカー | AGG | LQD | HYG |
---|---|---|---|
名称 | iシェアーズ・コア米国総合 債券市場ETF | iシェアーズiBoxx米ドル建て 投資適格社債ETF | iシェアーズiBoxx米ドル建て ハイイールド社債ETF |
運用会社 | ブラックロック社 | ブラックロック社 | ブラックロック社 |
インデックス | ブルームバーグ・ バークレイズ米国 総合インデックス | Marki iBoxx米ドル建て リキッド投資適格指数 | Marki iBoxx米ドル建て リキッドハイイールド指数 |
経費率 | 0.04% | 0.14% | 0.49% |
配当利回り | 2.16% | 2.56% | 4.95% |
配当月 | 毎月 | 毎月 | 毎月 |
運用開始日 | 2003年9月22日 | 2002年7月22日 | 2007年4月4日 |
ベータ値 | 0.08 | 0.40 | 0.29 |
実効デュレーション | 6.30年 | 9.36年 | 3.67年 |
経費率に関しては、『AGG』が最も低く年0.035%となっています。
『HYG』の経費率は比較的大きいです。
配当利回りに関しては、『HYG』が最も高く4.95%と一番高くなっています。
ベータ値とは
株価指数(S&P500)に対する、株価の感応度のこと。
例えばベータ値が1の銘柄は、S&P500が1%上昇すると1%上昇し、S&P500が1%下降すると1%下降します。
このベータ値で『AGG』『LQD』『HYG』を比較してみると以下のようになります。
- AGG・・・S&P500が1%下降すると0.08%下降する。
- LQD・・・S&P500が1%下降すると0.40%下降する。
- HYG・・・S&P500が1%下降すると0.29%下降する。
『AGG』が株価の値動きにたいして非常にマイルドな値動きになっていることが分かります。
意外だったのでは、『HYG』が『LQD』と比べてベータ値が低かった点です。
実効デュレーションとは
市場金利(米国10年債)の変化に対応する債券価格の変化の感応度のこと。
- 年数が少ない・・・市場金利に影響を受けにくい
- 年数が多い ・・・市場金利に影響を受けやすい
実効デュレーションについても意外だったのは、『HYG』(3.67年)が市場金利の影響を比較的受けにくいという点です。
『AGG』『LQD』『HYG』の構成銘柄を比較
『AGG』『LQD』『HYG』の残存年数一覧表
残存年数 | AGG | LQD | HYG |
---|---|---|---|
キャッシュ、デリバティブ等 | 1.29% | 1.30% | 0.00% |
1年未満 | 0.88% | 0% | 15.42% |
1~5年 | 50.99% | 20.93% | 56.15% |
5~10年 | 27.52% | 34.09% | 27.58% |
10~15年 | 1.85% | 5.26% | 0.79% |
15~20年 | 3.84% | 9.58% | 0% |
20年超 | 13.03% | 28.84% | 0.16% |
残存年数で考えてみると、『AGG』よりも『HYG』の方が1年以内の短期債券の割合が多いです。
一方で『LQD』は比較的、長期債券が多い印象を受けます。
『AGG』『LQD』『HYG』の信用格付け一覧表
トータル・リターン | AGG | LQD | HYG |
---|---|---|---|
キャッシュ、デリバティブ | 1.36% | 1.26% | 0.03% |
AAA | 68.94% | 1.73% | 0.00% |
AA | 2.71% | 7.28% | 0.00% |
A | 11.41% | 38.60% | 0.00% |
BBB | 15.59% | 51.08% | 0.85% |
BB | 0.0% | 0.05% | 55.33% |
B | 0.0% | 0.0% | 31.98% |
CCC | 0.0% | 0.0% | 11.39% |
CC | 0.0% | 0.0% | 0.20% |
C | 0.0% | 0.0% | 0.03% |
格付けなし | 0.0% | 0.0% | 0.20% |
『LQD』は信用格付けがBBBが多く、『AGG』や『BND』と比べてリスクが高いことが分かります。
『AGG』『LQD』『HYG』の実績を比較
『AGG』『LQD』『HYG』のトータル・リターン一覧表
残存年数 | AGG | LQD | HYG |
---|---|---|---|
1年 | 0.70% | 8.54% | 18.92% |
3年 | 4.60% | 6.85% | 5.89% |
5年 | 3.05% | 5.17% | 6.67% |
10年 | 3.36% | 5.45% | 5.32% |
設定来 | 3.97% | 5.61% | 5.48% |
比較的リスクの低い『AGG』と比べて、リスクが高い『LQD』、『HYG』のリターンが大きいことが分かります。
設定来リターンが、ハイイールド社債の『HYG』よりも投資適格社債『LQD』の方が優れているのは意外でした。
『AGG』『LQD』『HYG』のチャート比較
『AGG』『LQD』『HYG』の1年チャート

- 赤色・・・『AGG』
- 青色・・・『LQD』
- 緑色・・・『HYG』
1年チャートを比較してみると、『HYG』の値動きが一番優れています。
この要因としては、以下が考えられます。
米国ハイイールド社債市場(BB-B格)は、主要先進国における経済活動の再開や原油価格の半パスなどに加え、FRBによる信用緩和措置策の対象が投資適格級のみならず一部のBB格社債へかくだいされたことが追い風となり、3月後半以降堅調に回復基調をたどりました。
2020年7月20日 ピムコジャパンリミテッドのレポートを参照
『AGG』『LQD』『HYG』のチャート(2007年以降)

- 赤色・・・『AGG』
- 青色・・・『LQD』
- 緑色・・・『HYG』
ただ、2007年以降の長期チャートを見てみると『HYG』の値動きは良くないです。
※ただ毎月配当がでているため、配当再投資した場合はプラスになります。
一方で、『AGG』はボラティリティが低く右肩上がり、『LQD』はボラティリティが高く右肩上がりのチャートとなっています。
『AGG』『LQD』『HYG』『IVV』のチャート(2007年以降)

- 赤色・・・『AGG』
- 青色・・・『LQD』
- 緑色・・・『HYG』
- 黄色・・・『IVV』(S&P500に連動)
債券ETF同士を比較してきましたが、最後にS&P500ともチャート比較していきます。
ぱっと見で分かるように、株式に投資した方が圧倒的に大きなリターンを得られることが分かります。
これだけきれいな右肩上がりであれば、債券に投資することがもったいないようにも感じます。
まとめ
- 『AGG』『LQD』『HYG』で配当利回りが一番高いのは『HYG』
- 『AGG』『LQD』『HYG』でトータル・リターンが最も良いのは『LQD』
- 『AGG』『LQD』『HYG』でリスクが低いのは『AGG』
- 債券に投資するよりも株式に投資する方が大きなリターンを得られる。
僕としては、ミドルリスクでミドルリターンの『LQD』に100万円分投資しています。
米国株、米国ETFの評価損益公開【2021年4月】
また、超長期米国債ETFの『EDV』に20万円分投資しています。
債券への投資は明らかにリターンが低くなってしまうので避けていましたが、株式市場が暴落した際に債券を売って暴落した株式を買い向かうことでリターンを最大化することができるのではと考えるようになりました。
これは、コロナショックで株式市場が大暴落している際に、恐怖でただチャートを眺めることしかできなかった経験からきた考えです。
狼狽売りすることはないと思いますが、暴落時に攻めの投資戦略を取るためにも僕は最近債券を勉強しています。
『AGG』『BND』『LQD』米国債券ETFの徹底比較【2021年4月】
今回の記事が、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
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