トマ・ピケティの「r>g」の解説【投資しなければ資産は増えない】

投資戦略×理論
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トマ・ピケティの「r>g」の解説【投資しなければ資産は増えない】

  • r>gってよく聞くけど意味がよく分かりません。
  • お金持ちがますますお金持ちになるのって本当!?
  • サラリーマンでも資産を増やす方法はありますか。

ピケティの著書 21世紀の資本に出てくる結論「r>g」という不等式を一度は聞いたことあるのではないでしょうか。両学長やひろゆき氏もYoutubeで取り上げていました。要約すると、「お金持ちはますますお金持ちになる」ことを示しています。

「r>g」を理解することで、投資をしなければならない理由が明確になります。また、労働するよりも投資する方がはるかに早く資産形成でき、生涯投資を継続していなければ資産が増えないことが分かります。

この記事で検証している結論は下記になります。

  • 年収433万円のサラリーマン・・・20年後に1502.7万円給料が増える
  • 433万円の一括投資・・・20年後に715.9万円利益が増える
  • 433万円の貯金・・・20年後に8.7万円お金が増える

20年後に増える資産がほぼ同額になる3つの条件

  • 年収433万円のサラリーマン
  • 910万円の一括投資
  • 月々85,000円のつみたて投資

20年後に増える資産がほぼ同額になる2つの条件

  • 月々33,333円のつみたて投資
  • 月収10万円のアルバイト従業員
えいぎょ
えいぎょ

今投資されていない方は「投資を今すぐにでもはじめたい」と感じ、逆に今投資をされている方は「投資を生涯続けよう」と感じていただけると幸いです。

トマ・ピケティ 21世紀の資本「r>g」

トマ・ピケティ 21世紀の資本「r>g」要約

『21世紀の資本』とは、フランスの経済学者であるトマ・ピケティの著書。資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど、それだけ富は資本家へ蓄積されます。つまり、個人の才能や努力の結果よりもお金を持を持っているという理由だけでお金持ちはますますお金持ちになります。

そして、富が公平に再分配されないことによって、貧困が社会や経済の不安定を引き起こすということを主題としています。この格差を是正するために、累進課税の富裕税を、それも世界的に導入することを提案しています。

引用元:Wikipedia

「r>g」を少し詳しく解説

「r>g」

  • 「r」:資本収益率(年5%程度)・・・資本への投資によって得られる利益成長率
  • 「g」:経済成長率(年1~2%程度)・・・労働によって得られる賃金上昇率

過去200年以上のデータを分析すると、資本収益率「r」は平均で年に5%程度ですが、経済成長率「g」は1%から2%の範囲で収まっていることが明らかになりました。このことから、経済的不平等が増していく基本的な力は、r>g という不等式にまとめることができます。

古代から2100年までの世界における資本収益率「r」と経済成長率「g」を比較したグラフを以下に示します。

引用元:https://cruel.org/books/capital21c/pdf/F10.9.pdf
えいぎょ
えいぎょ

資本収益率「r」が経済成長率「g」をずっと上回っています。さらに今後はその格差が拡大していくことが予想されています。

次に国別の上位1%の所得シェアを以下に示します。

どの国においても上位1%の所得シェアは1981年よりも2012年の方が大きくなっており、所得格差は進んでいるといえます。

えいぎょ
えいぎょ

資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、結果として格差は拡大していきます。

家計調査(貯蓄・負債編)で日本の家計金融資産2013年を以下に示します。

資産残高が少ない世帯では、資産は元本が保証される預貯金などの安全なものが中心になっています。一方、資産を多く保有している世帯ほど株式などの有価証券の保有が多くなる傾向があります。

えいぎょ
えいぎょ

資産が少ない世帯では「投資に回すお金などない」というのが本音だと思います。しかしこれが資産家との格差拡大につながる要因の一つになっています。これからご紹介する3つのパターンを読んでいただくとお分かりいただけると思います。


不平等を和らげるには、最高税率年2%の累進課税による財産税を導入し、最高80%の累進所得税と組み合わせればよいです。その際、富裕層が資産をタックス・ヘイヴンのような場所に移動することを防ぐため、この税に関して国家間の国際条約を締結する必要があります。しかし、このような世界的な課税は、夢想的なアイディアであり、実現は難しいです。

えいぎょ
えいぎょ

トマ・ピケティの提案する世界的な課税は実現は難しいと自分でも主張されています。僕は格差是正をどうのこうのといった議論よりも、「どうすればr側に近づけるのか」といった内容に興味があります。

r>gを3つの事例で解説

r>gを現代人目線で考えてみると下記になります。

  • 「r」・・・株式や不動産など(投資)
  • 「g」・・・給与所得(年収)

日本全体の平均年収は461万円で、年収の中央値は433万円程度(男女計)になります。

  • 平均年収:数値データを全て足し合わせ、その総数を足した数で割った値のこと。(全体の傾向から大きく離れた値の影響を受けやすいため、一般的な感覚からはずれやすい。)
  • 中央値:数値データを小さい順に並べたときに真ん中にくる値のこと。(一般的な感覚にそった年収事情を把握できる。)

引用元:【2022年最新】日本の年収の中央値は?年齢・雇用形態・業種別でも解説

えいぎょ
えいぎょ

一般的な感覚に沿った年収の中央値433万円で3つのケースで検証してみました。

①年収433万円のサラリーマンvs433万円の一括投資vs433万円の貯金

[資本収益率5%、経済成長率2%、普通預金金利0.1%と仮定]

ケース①初期1年後5年後10年後20年後
サラリーマン(年率2%)433万円6.5万円99.4万円373.8万円1502.7万円
一括投資(年率5%)433万円21.7万円119.6万円272.3万円715.9万円
貯金(年率0.1%)433万円0.4万円2.2万円4.3万円8.7万円
  • 年収433万円のサラリーマン・・・20年後に累計1502.7万円給料が増える
  • 433万円の一括投資・・・20年後に累計715.9万円利益が増える
  • 433万円の貯金・・・20年後に累計8.7万円お金が増える

年収433万円のサラリーマンは20年間働き続ける事で1502.7万円資産が増えます。この年収と同じ金額を20年間運用し続けた場合、働かなくても715.9万円も資産を増やすことができます。一方、投資せずに貯金で銀行にお金を預けている場合はほとんど資産は増えません。

えいぎょ
えいぎょ

サラリーマンの年収分を投資し続けているだけで20年後にサラリーマンの半分程度資産を増やすことができている点は驚きです。たとえ資産家であっても銀行にお金を預けていれば全くお金が増えないので非常にもったいないです。

②年収433万円のサラリーマンvs910万円の一括投資vs月々85,000円のつみたて投資

[資本収益率5%、経済成長率2%と仮定]

ケース②初期1年後5年後10年後20年後
サラリーマン(年率2%)433万円6.5万円99.4万円373.4万円1,502.7万円
一括投資(年率5%)910万円45.5万円251.4万円572.3万円1,504.5万円
つみたて投資(年率5%)月々85,000円5.1万円81.8万円327.1万円1,501.4万円

20年後に増える資産がほぼ同額になる3つの条件

  • 年収433万円のサラリーマン
  • 910万円の一括投資
  • 月々85,000円のつみたて投資

年収433万円のサラリーマンは20年間働き続ける事で1502.7万円資産が増えます。20年間運用し続けて同程度の資産形成を目指す場合、一括投資では910万円、つみたて投資では月々85,000円必要になります。

えいぎょ
えいぎょ

初期投資資金が910万円用意できれば日本の平均的なサラリーマンと同程度の資産を増やすことができます。また、月々85,000円つみたて投資できれば日本の平均的なサラリーマンと同程度の資産を増やすことができます。

③月々33,333円のつみたて投資vs月収10万円のアルバイト従業員

[資本収益率5%、経済成長率2%と仮定]

ケース②初期1年後5年後10年後20年後
つみたて投資(年率5%)月々33,333円2万円32.1万円128.3万円588.8万円
アルバイト(年率2%)120万円2.4万円37.0万円140.2万円574.0万円

20年後に増える資産がほぼ同額になる2つの条件

  • 月々33,333円のつみたて投資
  • 月収10万円のアルバイト従業員

今度は逆に、現在多くの方が実践されている月々33,333円のつみたて投資が20年後にどのくらい資産を増やすことができるのか調べました。結果は、月収10万円のアルバイト従業員に匹敵するものでした。現実問題としてアルバイトは年率2%も給料が上がらないので、月々33,333円のつみたて投資は月収10万円のアルバイト従業員以上に資産を増やすことができています。

えいぎょ
えいぎょ

月収10万円のアルバイト従業員と月々33,333円のつみたて投資が同じくらい資産を増やすことができる点は驚きです。

まとめ

「r>g」

  • 「r」:資本収益率(年5%程度)・・・資本への投資によって得られる利益成長率
  • 「g」:経済成長率(年1~2%程度)・・・労働によって得られる賃金上昇率
  • 年収433万円のサラリーマン・・・20年後に1502.7万円給料が増える
  • 433万円の一括投資・・・20年後に715.9万円利益が増える
  • 433万円の貯金・・・20年後に8.7万円お金が増える

20年後に増える資産がほぼ同額になる3つの条件

  • 年収433万円のサラリーマン
  • 910万円の一括投資
  • 月々85,000円のつみたて投資

20年後に増える資産がほぼ同額になる2つの条件

  • 月々33,333円のつみたて投資
  • 月収10万円のアルバイト従業員

労働の力のみで資産家を逆転しようと思ってもほぼ不可能で、逆に格差は広がってしまいます。「r>g」のr側に立つためにも小さな金額でも良いので投資を始めていく必要があることが分かったと思います。

投資方法は、株価の変動を予測して利益を得る短期投資ではなく、指数に連動した投資商品を持ち続ける長期投資(インデックス投資)が適しています。具体的な方法については下記の記事でまとめておりますので、是非ご覧ください。

えいぎょ
えいぎょ

「r>g」でお金持ちとお金持ちでない方の格差はどんどん大きくなっていくことが分かりました。少しでもこの過去の経験則に逆らうためにも投資を始める必要があることをご理解いただけたと思います。生涯投資し続けて資産を増やしていきましょう!!

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